murasaki tahara
ブランド価値とは -Aakerの3つのブランド便益-|感性AIコラム
更新日:2022年10月19日

第4回 ブランド価値とは -Aakerの3つのブランド便益-
ブランドは身近な存在ではありますが
意外とその概念や定義をしっかりと把握されている方は少ないのではないでしょうか?
そこで、今後5回に渡ってブランドについて考えを深めて行きたいと思います。
第3回 強いブランドの構築方法(Keller:ブランド・ビルディング・ブロックの構築)
第4回 ブランド価値とは①(Aaker:機能的便益、情緒的便益、自己表現的便益)
第5回 ブランド価値とは②(和田教授:基本価値、便宜価値、感覚価値、観念価値)
前回の第3回では、強いブランドの構築方法について確認しました。
その中でご紹介したブランド・ビルディング・ブロックには
理性的なルートと情緒的なルートがありました。
このことから、ブランドの価値には大局的に見て
機能的価値と感性価値の2つが存在することが伺えました。
では、ここからは、ブランドについて別の研究者の視点から見ていくことで、
ブランドの持つ価値についてさらに理解を深めていきたいと思います。
今回の第4回ではブランド研究の第一人者である
Aakerによるブランドの価値についての考え方を、
次回の第5回では慶應義塾大学名誉教授である
和田充夫先生による定義をを見ていきたいと思います。
Aakerはブランドの価値提案という概念を提唱し、その中で
「顧客に価値を提供するブランドによってもたらされる、
機能的便益、情緒的便益、自己表現的便益」を定義しています。※1

まず1つ目の機能的便益は、
製品属性による機能面の便益です。
例えば、
清涼飲料水によってスポーツ時に水分補給を行えたり、
コンビニが利便性を提供してくれるといった効用のことです。
Aakerは、機能的便益は差別化が難しく模倣されやすいと指摘し、
情緒的便益や自己表現的便益を考慮することの重要性を説いています。
2つ目の情緒的便益とは、
購買や使用にあたって肯定的な感情を得られる効用です。
例えば、
エナジードリンクを飲むとエネルギッシュな気持ちになったり、
高級車に乗ると興奮を覚えたりする、といったことです。
情緒的便益と自己表現的便益との間には、
密接な関係を持つケースもあるとされています。
例えば、化粧品を使用したときにきれいになった自分に高揚感を覚えることと、
それを使用した事によって美しい自分を表現することとの差分は
大きくないといったケースが考えられます。
3つ目は、自己表現的便益。
人々は自分のイメージを他者に伝えるときにブランドを用いることがあります。
この時のブランドによる効用が自己表現的便益です。
例えば、
ある女性は妻と母という2つの顔を持っています。
ある時はお気に入りの香水をつけて女性らしくなり妻としての自分を表現し、
ある時は健康的なシリアルを選ぶことで子供想いの母であることを表現します。
このように、ブランドを買ったり使用することで、自己表現を行えることが、
ブランドのもたらす自己表現的便益です。
そして、このような自己表現的便益をもたらすブランドは、
消費者とのリレーションが強くなることも言及されています。
このように、ブランドのもたらす3つの便益から、
ブランドの価値には機能的価値、情緒的価値、自己表現的価値が
存在すると考えられます。
他の研究者によっては、ブランド価値はどのように定義されているでしょうか。
次回は、慶應義塾大学名誉教授である和田充夫先生による定義を確認していきます。
参考・出典(※1):Aaker, D. A. (1996) Building Strong Brands, TheFreePress. (陶山計介・小林哲・梅本春夫・石垣智徳訳 (1994) 『ブランド優位の戦略―顧客を創造する BI の開発と実践』ダイヤモンド社. )
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マーケティングにおけるブランド価値と、感性価値も合わせて解説しています。
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