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【コラム】一人ひとりに寄り添うAI時代のマーケティング・商品開発




坂本真樹コラム  一人ひとりに寄り添うAI時代のマーケティング・商品開発


消費者が満足して対価を支払う「いい商品、いいサービス」には、「高機能性」「高信頼性」「合理的価格」といった従来型の価値を超え、生活者の感性に働きかけ、その感動や共感を呼び起こす「感性価値」が存在します。近年、こうした感性の観点をモノづくりに活かし付加価値を生み出し新たな需要を喚起することが求められている中で、一人一人のニーズや感性に寄り添い、AIなどの技術を活用しながら、よりパーソナライズされた商品開発やレコメンドをしていくことが一つの課題となってきています。

顧客ごとの好みや嗜好を知る手段として、「ユーザの行動履歴を用いた推定」があります。インターネットの閲覧履歴や購買履歴から個々の嗜好を抽出できるようになりました。

インターネットが利用されるようになった1980年代後半から1990年代には、情報推薦・情報フィルタリングについての研究が始まっていました。情報推薦の方法には、大別すると、「コンテンツに基づくフィルタリング(内容ベースフィルタリング)」(推薦対象のコンテンツからキーワードの出現頻度など特徴量を抽出し、ユーザからのそのコンテンツに対する評価から嗜好情報を抽出し、モデル化するもの)と「協調フィルタリング」(対象となるユーザと好みが近いと思われるユーザ群を特定し、それをもとに推薦を行うもの)の2種類があります。

このような、インターネット上の行動履歴に基づいて個々人の嗜好を抽出しようとする方法は、一人ひとりのユーザの過去の購買履歴や類似の振る舞いをするユーザの履歴から好みを予測するものです。

一方で、私は、個人の購買履歴そのものではなく、個人が個々のモノや商品について実際にどのように感じるかを予測する方法の開発を行っています。

たとえば、ある人が「大人ぽくてしっとり魅惑的」と思う真っ赤な口紅は、他の人にとっては「べったりしていて少し派手・・」と感じるかもしれません。

同じ物を見ていても、それに対する感じかたは人によって違いますし、感じたことを表現する言葉としてなにを選択するかも、人によって違います。

言葉とモノの世界の関係については昔からいろいろな考えかたがありますが、五感を通して物理的な世界を感じて、その感じた結果を言葉で表現するという営みは、物理的な世界を言葉で分類・カテゴリ化しているといえます。たとえば、Aというモノも、Bというモノも、Cというモノも、「さらさら」というラベルで表現する人は、それらの間に共通するものを感じているのでしょう。Aを「さらさら」、B を「すべすべ」、Cを「かさかさ」と表現する人は、それらの間の微細な違いを感じているのでしょう。モノに対してどのような言葉をラベル付けしているかを調べれば、その人がモノをどのように感じているかを把握することができます。

この個人個人の感じ方の違いが、性別や年齢による差であれば、その集団を代表する被験者にアンケートをすることで、何をどのように感じるかを把握することができますが、人の五感・感性は一人一人違うため、一つ一つのモノの感じ方についてアンケートを実施しなくてはいけないことになります。

そこで、モノの世界(モノのマップ)と、人がそれをカテゴリ化することで作られるオノマトペによる感性の世界(オノマトペマップ)をそれぞれ独立なものとして用意し、2つのマップのすり合わせ方の違いによって個人個人の感じ方の違いを把握する「個人差可視化システム」を作りました。

モノのマップ上にオノマトペマップを重畳することにより、あるユーザがいくつかのモノについてそのように感じたかをオノマトペで表現してもらえれば、その人個人のモノに対する感じ方を表すマップができ、その人の感覚を一目で把握できるのです。

このシステムは、少数のモノについてのユーザ(消費者)の評価から、そのユーザが接触したことのないモノをどのように感じる可能性があるかを推定できます。つまり、モノと、その知覚印象を表現するオノマトペの対応付けから、個人の知覚空間を簡便に把握できるシステムだといえます。

マーケティングでは、個人の感じかたや好みを把握し、効果的に訴求することが大切です。

リアルな店頭や、バーチャル店舗であるECサイト上で、個人差可視化システムを活用し、世の中にあるたくさんのモノと個人の感じ方の関係性を取得できれば、

AIが過去の購買履歴や類似の振る舞いをするユーザの履歴から嗜好を推測するだけでなく、その人が実際のモノをどのように感じるかという個々人の感じ方の特徴を含めた学習をし、よりユーザーそれぞれの潜在ニーズに響く商品の販促コピー作成や接客、レコメンドが可能になるのではないでしょうか。

また、例えば、どういう人がなにをどのように感じる傾向にあるのかという、個々人の知覚に関するデータを蓄積していくことができれば、今後のトレンドを読み解き、人々の五感に響くものをどのように生み出していくか、商品開発における感性価値付与の方向性を検討していくことができるのではないでしょうか。

日本人は、微細かつ高品質なモノを理解・評価することができる強みがあります。この、細かい品質の違いを敏感に察知することのできる日本の消費者の力・感性を最大限に生かすことが、日本のモノづくり・サービス産業自体が国際的な競争力をもつカギになるのではないか、と考えています。 感性AIの個人差可視化システム(KANSEI-Recommender)の詳細はこちら


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