2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)で発表【内容を説明】
- 管理者 感性AI
- 2 分前
- 読了時間: 4分
感性AIのメンバーが5月27日(火)から30日(金)に実施された2025年度 人工知能学会全国大会(第39回)で発表いたしました。

発表タイトル
「日本語・韓国語オノマトペにおける意味的・音韻的類似ペア抽出のための言語埋め込みを用いた分析」
上記のタイトルで5月30日(金)、一般セッションの「言語メディア処理」セッションにて発表いたしました。
論文はこちら
今回は発表内容を説明します。
はじめに
日本語と韓国語はともにオノマトペの数が多いことで知られています。
ある調査(※1)によると、日本語には1000~4500個、韓国語には3000~8000個のオノマトペがあります。
※1 文慶喆:日本語と韓国語における擬態語・擬音語に ついて, 総合政策論集: 東北文化学園大学総合政策学部紀要, Vol. 13, No. 1, pp. 140–155 (2014)
また日本語と韓国語で似たオノマトペも存在します。例えば、匂いをかぐ様子をあらわすオノマトペ「クンクン」は、韓国語で「킁킁」とあらわします。

異なる言語で似たオノマトペがあることは驚きですね。これは偶然でしょうか?
本研究では、偶然か明らかにする第一歩として、日本語と韓国語で音と意味が似ているオノマトペのペアを見つける手法を提案し、その手法を使って似たオノマトペを見つけました。
音と意味が似ているオノマトペ

日本語と韓国語で音と意味が似ているオノマトペを調べた結果、例えば「クンクン」「パンパン」「ドンドン」「トボトボ」などがあるとわかりました。音と意味が共通するオノマトペが複数あることから、人間に共通の感覚があることがうかがえます。
ではこのようなオノマトペをどのようにして見つけたのでしょうか?
音の類似度合いをはかる
似たオノマトペを見つけるために、日韓オノマトペの「音の似ている度合い」をはかりました。本研究では次の2つの方法を試して、人間の「聞いたときの感覚」(※2)をよりあらわす方法を採用しました。

調査の結果、1つ目のローマ字ベースの手法が、より人間の聞いたときの感覚をあらわしており、こちらを使って似た音のオノマトペを探しました。
※2 次のデータを使用 松島弘枝:日本語2字漢字単語における韓国語漢字との形態・音韻類似性調査, 広島大学日本語教育研究, Vol. 25, pp. 67–73 (2015)
意味の類似度合いをはかる
次に日韓オノマトペで「意味の似ている度合い」をはかりました。
具体的には日韓オノマトペの対訳ペア(※3)と、それをランダムに組み替えたペアを比べ、正しい対訳ペアのほうが、意味がより近いとモデルに評価されるか調べました。その後この評価を複数のモデルで比較し、最良のモデルを採用しました。
※3 対訳ペア:異なる2言語で意味が対応する組み合わせ(日本語オノマトペとその韓国語訳のペアなど)
調査の結果、敵対的学習(※4)によって2言語間の対応関係を学習したfastTextが、もっとも有効であることがわかりました。
※4 敵対学習:オリジナルの学習データに加えて、意図的に作成した敵対サンプル(モデルをだまそうとするサンプル)も含めて学習させる方法。これによりモデルが敵対サンプルに対しても正しく振る舞うことができ、頑健性が高まる
これらの方法で音と意味が似ている日韓オノマトペを見つける手法を提案しました。
いかがでしょうか? 本研究では日韓オノマトペで、音と意味が似ているペアの抽出方法を検討し、実際に似ているペアを見つけました。この研究は今後、語学教育支援や音の印象の研究・比較言語学などへ活用できると期待できます。
発表者インタビュー
最後に、感性AIの本村へ発表を終えた感想・今後の方向性を聞きました。

「言語の音と意味の関係について、オノマトペを通した分析による研究をしています。今回は、日本語と韓国語のオノマトペの関係をテーマに、言語間の一般性を見据えた分析への第一歩を踏み出したいと思いました。まだ事例的な検証にとどまっていますが、今後は2言語間における音韻的な特徴をより大きく捉えられる研究をさらに進めていけたらと思っています。」
弊社ではこのような技術等を紹介するメールマガジンを発行しています。
購読をご希望される場合は、Contactページからご連絡をお願いします。
Facebookでも情報更新しています!
他のコラムも気になる方はこちら!