ものづくりにおける感性データ利活用の推進|感性AI技術紹介
更新日:2023年9月20日
<このコラムの内容>
1.感性データ利活用の重要性
2.人の感性を理解するAIの開発・支援
3.感性データ利活用の推進
1.感性データ利活用の重要性
第4次産業革命により、大量・多様なデータを利活用し社会的価値を生み出す「データ駆動型社会」への変革が進む中、データは新たな天然資源とも言われています。
感性AIでは、感性を定量化する技術をもとに、「感性データ」の活用を推進しています。2030年に向けて経済産業省が策定した日本の成長戦略「新産業構造ビジョン」によると、技術革新・データ利活用による第4次産業革命への対応は、第1幕(ネット上のデータ競争)においては欧米がGAFAをはじめとした大規模なプラットフォームを先行して形成し急激に進展していたのに対し、第2幕は実世界における個々人の生活情報や製品の稼働状況等をネットワークに接続されたセンサーを介して直接的に収集するリアルな世界でのデータを巡る競争であり、リアルデータをかち合う形で利活用し革新的製品・サービス実現につなげるためのプラットフォームの創出・発展が必要であるとしています。
そのための戦略として、日本の強みを活かした戦略的取組を行うことが必要であるとし、
活かすべき強み・機会として掲げられた項目が下記の通りです。
1⃣ データを丁寧に拾い上げることができる力を活かしてリアルデータを蓄積し新たな価値を生み出していくこと
2⃣ 世界シェアの高い日本の「モノ」の強みを活かしたプラットフォームを創出していくこと
3⃣ 世界的に見て課題先進国であること活かし、課題解決のためのプラットフォームを創出し社会実装をいち早く進めていくこと
その中で、当社が目指しているのは、AIにより曖昧な感性を定量化・データ化する技術を活用することで、
ものづくりにおける感性価値を創造していくための感性データ利活用プラットフォームを実現していくこと
です。
これは、AIの学習元として質の高い教師データを取得が可能であり、社会実装先として高品質なモノを理解できる消費者が存在している日本ならではの強みを活かして推進することで、
ものづくりにおいて機能的価値を超え感性に働きかける新たな価値を生み出していくことができる分野です。
これにより、グローバルな産業競争において差別化できる高付加価値商品を生み出すことが可能になり、日本の感性産業を振興していくことにつながると考えています。
2.人の感性を理解するAIの開発・支援
感性データの利活用に向けて必要となるのが感性データの取得ですが、感性価値判断は主観的で個人差があるため正解不正解がなく回答は無限となり、データの獲得と処理は困難です。
そこで、国立大学法人電気通信大学坂本研究室では、感性の定量化技術と深層学習への適用について長年研究をしてきました。五感を通して感じたことを表すオノマトペをはじめとする様々な言語情報から、感性的印象を精緻に数値化・定量化するシステムを開発しています。
また、多様な質感に対する物理特徴、知覚表現、言語や多次元尺度値として記述される感性データを、実社会における様々な実例から掘り起こし、それらの対応関係を蓄積することで共有化する仕組みや、
経験や嗜好,価値判断などに起因する感性データの個人差を表現可能な物理特徴―知覚表現―オノマトペを紐づけるモデルを構築することによる感性的質感に基づく素材推薦など、ものと感性を結ぶ技術を開発してきました。
この技術を活用した人の感性を理解するAIを活用し、