オノマトペ 五感・感性と結びつく言葉|感性AIコラム
更新日:4月8日
坂本真樹先生のモノと言葉の不思議講座
第一章:オノマトペ 五感・感性と結びつく言葉
第二章:個人個人の感じ方の違いを把握~感性の個人差をモノづくりに活かす~
第三章:普遍的な言語音と五感の結びつき
第一章
オノマトペ 五感・感性と結びつく言葉
日本語話者は机というモノを「ツクエ」といいますが、英語話者は「デスク」といい、ドイツ語話者なら「ティッシュ(Tisch)」といいます。言葉のコミュニティによって、違う言葉、違う“音”で表現します。「ツクエ」という音が一番合ってるから「ツクエ」というわけではなく、日本語ではそう決まっている、というだけです。
机には「つくえ」という言葉をラベル付けするのが日本語では正解で、ある人は「つくえ」というけどある人は「つくね」という、ということはありませんが、ある机の見た目や手触りから受ける感じを、ある人は「つるつる」というかもしれませんし、ある人は「さらさら」というかもしれません。このような言葉を「オノマトペ(擬音語・擬態語)」といって、そのモノがなんであるかを表しているのではなく、その人がそのモノから感じたことを表しています。
「つるつる」「さらさら」を感性AIのことばから感じる印象を数値化する技術で解析すると、それぞれ次のようになります。
机の手触りや見た目から感じたことを、「つるつる」と表現した人は、なめらかさや滑る感じを持ったと推定されますし、「さらさら」と表現した人は、なめらかなだけでなく乾いて軽快な感じを持ったと推定されます。どちらが正解不正解ということはありません。 オノマトペは、その人がそのモノから感じたことを表しています。オノマトペでは、五感・感性が音韻や形態と結びついているのです。
以前研究室で、若年者と高齢者の手触りの感じ方が違うことを、同じものを触ったときにその感覚をオノマトペで表してもらう実験で示したことがあります。体温や水分量の年齢による違いが、同じものを触ったときに使われるオノマトペの違いに表れていました。例えば、同じ机を触っても、若年者は「つるつる」と答えて、高齢者は「さらさら」と答えるかもしれません。そこで、高齢者は、若年者がつるつると思う机(モノ)を、「乾いている」感じ(感覚)、その感覚が「さらさら」というオノマトペとして表されていることがわかるのです。モノの見た目や手触りから何を感じるかは人によって異なります。そして、どのように感じたかによって、何にどのオノマトペを当てはめるかが変わるのです。
弊社ではこのような技術等を紹介するメールマガジンを発行しています。
購読をご希望される場合は、Contactページからご連絡をお願いします。
Facebookでも情報更新しています!
Comments