オノマトペ
オノマトペとは?:語源と分類
オノマトペとは外界の音や動物の鳴き声・人の声などを模した言葉である擬音語と、事物の様態を言語音によって象徴的に表す言葉である擬態語を総称したものです。
オノマトペという言葉は、フランス語のonomatopéeから来ており、英語ではonomatopoeiaと⾔います。語源は古代ギリシア語の「onomatopoiia:オノマトペイア」であり、「語を創ること」「名付け」という意味でした。
擬音語と擬態語は、さらにそれぞれ以下のように細かく分類することもできます。
擬音語
擬音語:自然界の音や物が発する音。
例:焚き火が「ぱちぱち」燃える。
擬声語:人や動物が発する声。
例:すずめが「ちゅんちゅん」鳴く。
擬態語
擬態語:物の状態や動き。(無生物主語)
例:星が「きらきら」輝く。
擬容語:人や動物の動きや様態。(生物主語)
例:相手を「じろじろ」見る。
擬情語: 人の感情や心理状態、身体感覚。
期待感で「わくわく」する。
言語の恣意性と音象徴
近代言語学では、言葉の「音」と「意味」の間には本来、必然的な結びつきがない(=恣意的である)と考えられてきました。
例えば、「夜」を「よる」と呼ぶことに音響的な理由はなく、社会的な“約束事”として決まっているに過ぎません。
これを「言語の恣意性」と呼び、ほとんどの単語はこの原則に従っています。

しかし、オノマトペはこの原則には当てはまりません。「ゴツゴツ」という音は、それ自体が硬く角張ったイメージを連想させます。このように、音そのものが特定の意味やイメージを直感 的に想起させる現象を「音象徴(Sound Symbolism)」と呼びます。
この特殊な性質ゆえに、「言語の恣意性」を前提としていた近代言語学において、オノマトペは長らく主要な研究対象ではありませんでした。
しかし、1980年代以降は認知言語学の発展とともに研究の数も増え、近年では工学・医学での応用的な研究も進められています。
世界の言語のオノマトペと日本語
オノマトペは世界のあらゆる言語に存在しますが、日本語のほか、韓国語、西・南アフリカや東南アジア、アマゾンの一部の言語に多いとされています。反対に、インド・ヨーロッパ語族に属する西洋の言語では比較的少ない 傾向にあります。
この背景から、世界で最もオノマトペが発達した言語の一つである日本語での研究は、人類の言語と認知の謎を解き明かす上で非常に大きな意義を持つといえるのです。
感性AIにおける研究と応用
感性AIでは過去に、AIの言語理解部におけるオノマトペの性質を分析する研究発表を行いました。
「単語埋め込みを⽤いた⽇本語オノマトペにおける有声・無声⼦⾳の対⽴による⾳象徴の分析」- 2024年度 人工知能学会全国大会
「キラキラ」と「ギラギラ」のように、濁音(有声音)があるかないかで言葉の印象がどう変わるのかをAIで定量的に分析し、AIにおける音象徴性を解明しようとする研究です。
「日本語・韓国語オノマトペにおける意味的・音韻的類似ペア抽出のための言語埋め込みを用いた分析」- 2025年度 人工知能学会全国大会
オノマトペが豊富な日本語と韓国語を比較分析し、AIを通した言語の壁を越えた普遍的な「音と意味の関係」を探求しています。
マテリアルズインフォマティクスサービスの感性AI MateriaLinkでは、素材の触り心地を表現するオノマトペから質感を定量化することでスムーズなイメージ伝達、素材開発を実現しています。

また、無料で提供中のサービスとして、入力したワードの音の響きの印象を評価する機能を体験できる「音韻診断」があります。入力されたワードの音の響きの印象を分析し、印象を86種類の感性の中から推定します。
https://kotobaken.jp/digest/02/d-02-06/
https://sites.google.com/site/akitambo/jpn/biblio?authuser=0
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